経典を聴聞し教法を聞く重要性
十方三世の諸仏は、何に依って無上正等正覚を得て仏道を成就されたのでしょうか。すべては諸法は夢の如しという観(諸法如夢観)に依り、空・無相・無願の三解脱門を証得して成就されたのです。まず初めに如夢観の正法を聴聞し、次に正しく思惟し、思惟した正理に従って修行し、聞・思・修・証という四つの段階を経ます。もし経典を聴聞せず教法を聞かなければ、正念を持って思惟することができず、理にかなった如実な思惟によって諸法の実相を観照することができません。そうなれば正精進の修行も生じず、諸法の実相を証得することも、如夢観を証得することも、初地に入ることも、その後のすべての解脱を得ることもできません。
もし万法の虚妄性を証得し、自性清浄心を証得し、無上正等正覚を得ようとするならば、必ずまず経典聴聞・教法聞くことから始めなければなりません。教法を聞いた後は、心を収めて真実の義理に基づいて思惟すべきです。仏の聖言量(信頼すべき教説)に基づき、身心による検証を通して信心を得て、信根を堅固にし、この法によって必ず解脱し仏道を成就できると知れば、決然として勇猛精進の修行を行い、菩提の大道から永遠に退転することはなく、したがって必ず菩提の果実を証得できます。まず初めに小乗の菩提果を証得し、五陰十八界の虚妄性を悟り人我(人間としての実体)が無いことを知ります。次に阿頼耶識の心を明らかにし、阿頼耶識が不生不滅であることを証得します。万法はすべて阿頼耶識から出生したものであり、自我は虚妄であり、諸法はすべて虚妄であり、全ては阿頼耶識の性質であり、これ以外に何もないことを明らかにします。したがって万法は皆空であることを悟り、初地の果位に至ることができます。順次に二地、三地、四地を証得し、最後に仏地の果位を証得し、究竟円満の大涅槃に入ります。修行とはこのような次第なのです。
もし経典を聴聞せず教法を聞かず、経蔵に深入りしなければ、どのように精進修行すべきかを知ることはできません。経蔵に深入りし、正念をもって理にかなった思惟を行うこと、これはただ経蔵に深入りするだけでは不十分であり、正念による思惟が極めて重要です。これによって信根・精進根が絶えず増長し、仏はこれに依って無上菩提を証得できると説かれています。特に仏がこの経で説かれた諸法は夢の如く幻の如しという法門(諸法如夢幻の法門)は、禅定中に深く観行することによって如夢観を証得でき、それによって初地に入ることが可能となるのです。
0
+1