父子合集経講話（一二一）

一切法の虚妄を証得すれば三悪道の業を消滅せしむ

一切法は生じる時に来処がなく、滅する時に行くところがない。何故ならば、その本性は一切法を離れているからである。初めの識が生じる時にも来処がなく、滅しても行くところがない。造られる業行にも来処がなく、行くところもない。業を造り果報を受ける法もまた虚妄である。虚妄ではあるが苦を感じ、苦悩を感じることもまた偽りの幻の感覚である。

この一切法の生滅の時、阿頼耶識は常に私たちに付き従い、背後で主導的な役割を果たしている。なぜならそれは不生不滅で、真実に存在する法であるからだ。これがなければ一切の法も虚相も存在し得ない。これは実相の心体であり、虚相の法は実相に依って存在する。万法の中で阿頼耶識のみが実相の法であり真実である。他の一切の法は虚妄である。地獄で報いを受けることも虚妄であり、もし地獄が空であり幻であると真に知れば、地獄の業は消滅し地獄から出られる。地獄を真実の存在と認め無明が滅びなければ、地獄で苦を受け続ける。業行が虚妄であり一切法が虚妄であることを真に証得すれば、三悪道の業は消滅する。証得できなければ、三悪道を心に真実として留め、報いを受けることになる。

悟りを開く時も同様に、一切法が空であり阿頼耶識の変現であることを知る。阿頼耶識のみが不空である。これによって三悪道の業も消滅し、悪報を受けることもない。もし三悪道の業を不空で真実と認めれば、果を証得できず悟りも開けない。三悪道の業行が偽物であると知れば三悪道は存在せず、業行は作用せず、ただ三悪道の業が人間界の果報に転じ、人間界で苦を受けるのである。