(二十五)原文:問。何等の無明有らずんば、故に行有らず。何等の無明滅すれば、故に行滅すや。答。三種の纏・随眠・無明を発起する有り。此の無明滅するによりて、彼の無明滅す。彼の滅するによりて、行また随って滅す。
釈:問:どのような無明が存在しないならば、行が存在しなくなるのか。どのような無明が滅すれば、行が滅するのか。答える:三種類の無明を発動させるもの(纏縛・随眠・無明)がある。これら三種の無明が滅すれば、十二支中の無明が滅し、無明が滅した故に行もまた滅する。
原文:問。何等の行有らずんば、故に識有らず。何等の行滅すれば、故に識滅すや。答。諸行自らの相続中に於いて、已に作り已に滅し、未だ対治を起こさざるに及び。また意行有るが故に、身語行を起こす。此の有るが故に彼有り、彼無きが故に彼を縁とする識もまた無し。此れ若し全く滅せば、当に識もまた随って滅すべしと知る。
釈:問:どのような行が存在しないならば、識が存在しなくなるのか。どのような行が滅すれば、識が滅するのか。答える:意根の諸行が自らの相続流転の中で生滅を繰り返し、未だ対治法が生じない状態において、意行が存在する故に六識の身口行が生じる。意行が存在する故に六識が存在し、意行が無くなれば六識もまた無くなる。もし意行が完全に滅すれば、六識も全て滅すると知るべきである。
原文:問。何等の識有らずんば、故に名色有らず。何等の識滅すれば、故に名色滅すや。答。種子識有らざるが故に、果報識有らず。此れ倶に滅するが故に、倶に名色滅す。識が名色を望む道理の如く、是の如く余の支分乃至受に至るまで、其の応ずる所に随って、当に亦た爾りと知るべし。
釈:問:どのような識が存在しないならば、名色が存在しなくなるのか。どのような識が滅すれば、名色が滅するのか。答える:業種を残す種子識が存在しない故に果報識が存在せず、両識が共に滅する故に名色も滅する。識が名色を縁起させる理と同様に、他の支分(愛縁取など)においても、対応する法に従って同様であると知るべきである。
名色の出生には業種が必要であり、業種は意根の行による選択によって生じ、六識が業を造作して業種を残す。六識が業行を造作しなければ業種は生じず、後世の業種成熟による名色の出生も、新たな六識による果報受容も生じない。その根源は意根に行が無くなることにあり、意根に行が無くなる前提は、意根の無明が滅することによって初めて行を止めるのである。
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