(二)原文:人生の生死は内なる十二因縁による。万物の生死は外なる十二因縁による。何が痴であるか。父母を礼拝せず、白黒を分別しないことをいう。この因縁より痛みを得て、捨てんと欲せず、現世も後世も信ぜず。既にこれを為すも、行いに随って作さざれば、これも得られず。ここにおいて痴あれば即ち行いあり、既に行いあれば即ち識あり、既に識あれば即ち名色あり、既に名色あれば即ち六入あり、既に六入あれば即ち栽(触)あり、既に栽あれば即ち痛みあり、既に痛みあれば即ち愛あり、既に愛あれば即ち受あり、既に受あれば即ち有あり、既に有あれば即ち生あり、既に生あれば即ち老死あり。
釈:人の生死は内なる十二因縁より来り、万物の生滅は外なる十二因縁より来る。痴とは何か。父母を敬わず、是非善悪を弁えず、痴の因縁より執着が生じ、これを捨て去ることができず、現世の因に後世の果あるを信ぜず、既に始めた善行を痴の故に続けず、故に善果を得られない。よって痴あれば心の行いあり、心の行いあれば六識が生じ、六識あれば未来の名色あり、名色あれば六入あり、六入あれば触あり、触あれば受あり、受あれば愛あり、愛あれば執取あり、執取あれば後世の有あり、有あれば生あり、生あれば老死あり。
原文:故に人は生まれながら十二因縁を取る。十二因縁を得て生ず。因縁なければ生ぜず。万物もまた然り。十二因縁を断たざれば生死を脱せず。三十七品の経を行うは、これより道を得んがためなり。十二因縁に五事あり。一に痴、二に生死の精行、これ前世の因縁。三に識、識より身を受けて生ず。四に名色、色身さらに五陰を成す。これ現世の因縁。五に六衰、さらに生死の精行を種栽す。これ後世の因縁。前後三世転じて相因縁なるが故に、五事ある。
釈:人は生を得て後十二因縁を執取し、十二因縁の法あるが故に人も生ず。因縁なければ人も生ぜず万物も生ぜず。十二因縁を断たざれば生死輪廻を脱せず、三十七道品を修行するは悟りを得て生死を脱するためなり。十二因縁は五種に分かれる。第一は痴、第二は生死に精進する心の行い、これら二者は前世の因縁となり、後世を継続して生じしめる故に現世の五陰生死あり。第三は六識、六識の業行の種子より色身が生じ、第四は名色、色身を拡張して五陰の作用を成す、これ現世の五陰身存在の因縁。第五は六入、精勤して業行の種子を造る、これ後世の色身生起の因縁。十二因縁は前後三世を流転する生死の因縁、これを五種に要約す。
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