水害が訪れる時の様子
原文:乃至この界壊れる時。大いなる黒雲を興す。三十二重。三千大千世界に遍く覆う。洪雨を降らしめ、滴りは象の如く大なり。昼夜傾き注ぎ、相続して絶えず。かかる時分、五十劫を経て、その水は積もり満ち、梵世に至る。大王。この外水界は何所より来たるや。
釈:三千大千世界が壊滅する時、天に三十二重の黒雲が降り、三千大千世界を覆い尽くす。その後、象ほどの大きさの雨粒が降り注ぎ、昼夜を問わず豪雨が止むことなく、五十劫の時を経て、水は欲界天に満ち、色界天にまで達する。大王よ、この外水界はどこから来たのか。
外水界とは身体の外にある水界、すなわち宇宙虚空や山河大地に含まれる水分と湿潤性を指す。例えば三千大千世界が滅亡する時、水害が発生すれば、天空に大黒雲が立ち昇り、三十二重に重なり、非常に濃密で重厚に層を成す。まさに豪雨を降らさんとする三十二重の黒雲が三千大千世界を覆い尽くす。三千大千世界には百億の地球、百億の須弥山、欲界六天・初禅天も百億単位で存在し、無数の天体が黒雲に覆い隠される。すると象ほどの雨粒が虚空全体に降り注ぎ、天界さえも水没する。
その時、人間は既に存在せず、地球は滅び、火災が人類と欲界天を消滅させている。欲界には人類も生命もなく、地球から欲界六天までは全て虚空となり、虚空にすら雨が降り続く。五十劫もの間降雨が続く。一劫を小劫で計算すれば千六百八十万年、五十劫は八億四千万年に当たり、雨水は虚空を水没させ、初禅天・二禅天にまで達する。世界の壊滅時はこのような様相を呈する。これほどの水は全て外水界に属し、水の到来には場所がなく、退去する時もどこへ退くのかが問題となる。水は到るところを水没させるのである。
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