なぜ涙が流れるのか
原文:大王よ、もしある時突然に、親愛する人々と出会い、目から涙が流れることがある。あるいは苦悩に迫られて涙し、あるいは深遠な教法を聞いて信心が沸き起こり涙し、あるいは冷たい風に吹かれて涙する。このような水界はどこから来るのか。水が干き去る時、再びどこへ去るのか。
釈:仏が問う:大王よ、もし人が突然に親愛する者と出会い目に涙を浮かべるならば、あるいは苦悩に迫られて涙し、あるいは深い法を聞き信心が躍動して喜びの涙を流し、あるいは冷風に吹かれて涙するならば、これらの水界はどこから来るのか。水が干きたる時、水界はどこへ去るのか。
なぜ親愛する者、好ましい者に会うと涙が流れるのか。涙は水性に属し下方へ沈む。識心の貪愛感情と関係があり、愛執が下方へ堕するため涙は沈む。苦悩時の涙は苦痛の涙、歓喜時の涙は感動の涙、深法を聞く時の涙は感化され感応を得た涙である。善根が極めて深い者は、今世で仏法を学び仏を拝む時、心中に数多の感慨が生じ自然に涙が溢れる。あるいは経典を読み深く感化され涙する。外の風が吹き目に当たれば涙が生じる。これらの涙は皆内水界に属す。内水界はどこから来るのか。目元に元々涙は無く、外縁が刺激して涙が現れる時、その涙はどこから来るのか。水が干き去る時、涙はどこへ去るのか。
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