内地界の堅固性は虚妄にして実体なし
原文:何故に地界は堅固性を有すると説くのか。大王よ。この堅固性は相似のものとして仮に立てられたものであり、畢竟この身は潰れ爛れ散滅するものである。ただ墓穴の中こそが帰趨する所である。かの堅固性はどこから来たのか。また四方より来たのでもなく、上下へ去ったのでもない。大王よ。この内なる地界はかくの如く知るべきである。
釈:何故地界に堅固性があると言うのか。大王よ、この堅固性も相似の仮安立の名前に過ぎず、真実の堅固性で永遠に壊れないものではない。この色身は畢竟潰れ爛れ散滅するもので、最後には荒野や墓場に捨てられ、四大は散滅して跡形もなくなる。色身中の堅固性はどこから来たのか。来るところもなく、去る所もない。東西南北四維上下から来たのでもなく、四維上下へ去るのでもない。この身体内の地界はかくの如く、来処も去処もないのである。(これは小乗の説き方であり、世尊は阿頼耶識や如来蔵が四大種子を輸出して色身を形成し、最後に四大種子が阿頼耶識如来蔵に戻ることを明説されていない。)
この羯邏藍(受精卵)中の地性はどこから来たのか。来るところなくして来り、滅した後にも帰する所なし。色身が死亡し地性が滅すれば、地性はどこへ行くのか。去る所なく、かくして地性は空・幻化・非実在である。故に身体の堅固性は真実ではない。堅固性は羯邏藍の時より存在し、やがて身体上の毛髪・歯・皮膚・筋肉・筋骨となる。死後には地性が消散し、毛髪・歯・皮膚・筋肉・筋骨は全て滅し、堅固性も行く所なく、虚空へも去らない。来る時には来処なくして来りしのである。
しかし実際には全て如来蔵より輸出されたものであり、仏は未だこの点を説かれていない。内なる地界はかくの如く来由する。男女和合により意根が受精卵に投胎し、羯邏藍が生じると地界が発生する。地界はかくの如く生滅虚妄である故、我々は地界に執着すべからず、毛髪・歯・皮膚・筋肉・筋骨や色身を我と見做し、真実不滅のものと見なしてはならない。
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