色身は識心と心所法に影響を及ぼします。身体の気脈が通じず気が滞ると、人はこの気を解放しようとします。この解放経路を「発火」とも「気を晴らす」とも称し、自他や物を対象に気を発散させます。気の滞りが解消されると、ようやく心が静まります。机を叩いたり物を投げる行為も気を発散させる一形態です。気が発散されず体内に留まると気滞を生じ、身体に病を招きます。教養ある人は怒りを表に出さず内に抑えますが、長期化すれば肝鬱気滞を形成し、腫瘍や癌に至ることもあります。気の滞りが深刻なほど気は強く、発する怒りも激しく、爆発の強度と持続時間も増します。軽度の滞りでは気は弱く、怒りの発現も小さく短時間で収まります。
怒りは大変身体を損ないます。誰も進んで怒りを起こそうとはせず、常に和やかでいたいと願うものです。故に意根が怒りの余韻に執着し、怒りの感覚を好む者など存在しません。
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