六塵を了別する時の七識の和合の働き

問：意根が何らかの事物を了別しようとする時、前五識は同時に了別を行い、且つ五識の了別した情報は直接意根に伝達されるのでしょうか？意根が五識から伝達された情報を受け取った後、更に深入りして了別するか否かを決定し、意識の発生を決定するのでしょうか？

答：五塵と法塵が合わさって初めて完全な塵境となります。この完全な塵境を了別するには、五識と五俱意識が和合して共同で了別する必要があり、分離して了別することはできません。従って意根が受け取る情報は、五識と意識が共同で伝達したものなのです。

衆生が同時刻に了別する時、五識と意識は並行して作動しています。例えば意根が目の前に人がいることを知ると、その人を詳しく見ようとし、眼識と意識はその人の色身の色塵に現れ、その人の相貌を了別します。同時に耳識と意識が現れてその人の声や周囲の音を了別し、鼻識も現れて香塵を嗅ぎ、身識も存在して気温や身体の感覚を感受します。

五識及び五俱意識は全て存在し、それぞれ了別を行っています。しかし了別には必ず重点があります。意根の注意力・精力・定力には限界があるため、六塵全てを均等に注視するのではなく、主従をつけて重点的に特殊な了別を行い、副次的なものは軽く流します。意根が目の前の人を重点的に注視すれば、眼識・耳識・意識はより多くの注意力で了別し、周囲の匂いや身体の感覚は意識されないか、軽微に感じられるのです。

なぜ意根の注目度に応じて六識の了別に濃淡が生じるのかと言えば、五識・意識の発生は意根が決定し、重点的な了別も意根が決定するからです。意識や五識が決定するのではありません。意根が特定の法を重視すれば、六識はその法を重点的に了別し、六識は完全に意根の指揮下にあり、注意力は意根によって配分されます。故に六識は自律的ではなく、意識が了別時に独自の主張を持っていても、意根はそれを採用するか否かを決めるのです。