盗みの内容は世俗界における一切の自己に属さない法を含み、人事物理の情報が自己に属さない場合、私的に入手すれば盗みに該当する。自己の所有でないものを所有しようとし、所有者の同意を得ずに行うことは全て盗みである。盗みには明知故犯と不知犯の二種類があり、前者は罪が重く、後者は罪が軽い。
ある者が羊毛を刈ることは盗みに当たるかと問うた場合、自家の羊の毛を刈ることは盗みに当たらず、羊にとって利益があり、羊も自ら毛を刈られることを望むからである。しかし他家の羊の毛を刈ることは盗みとなる。野生の羊の毛を採取する場合はどうか。羊毛は羊自身が所有するものであり、この場合羊が毛を刈られることを好むかどうかを見る必要がある。毛を刈られて身体的に快適に感じ、羊が反対しないならば盗みに当たらない。羊が毛を刈られることを避けようとするのに無理やり刈るならば、羊の毛を盗むことに該当する。
これは蜂蜜を採取する場合とは異なる。蜜蜂は飼育されているか否かにかかわらず、自らの蜜を守護し、誰にも持ち去られることを望まず、人間が砂糖で密かに交換することも望まない。従って誰が蜂蜜を採取しても全て盗みとなる。蜂蜜を売る者が盗んだ蜂蜜を個人所有とした後は、蜂蜜を買う者に盗みの罪はないが、蜜蜂への負債が生じ、後日高倍の利息で返済しなければならない。畜生を殺して肉を売る者は殺生の罪のみならず盗みの罪も犯しており、肉を買う者には盗みの罪はないが畜生への負債が生じ、将来高額の利息で返済しなければならない。毛皮のコートや革靴を着用することは殺生の共犯であると同時に畜生への負債も生じ、将来高倍の利息で返済しなければならない。
現在市場で販売されている卵は一般的に生命がなく、雛が孵化することはないため、食べても殺生には当たらないが、雌鳥への負債が生じるため返済が必要である。しかし卵を多く食べれば食べるほど養鶏業者は雌鳥を虐待し、雌鳥はより苦しみ、人間が雌鳥を酷使すればするほど雌鳥への負債は増大する。もし皆が卵を食べないか控えめにすれば、雌鳥は縁に任せて産卵し、虐待されずに済む。
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