衆生は無明あるときにこそ塵境を見る

六根が六塵に触れる時、第八識は六識を生じ、根・塵・識の三者和合して触れ、六識が内六塵を了別すると、衆生は内六塵の内実を知り、分別了知が完成します。衆生が了知する所は内塵の内相分であり、外塵の外相分ではありません。故に衆生が了知する六塵は虚妄です。内塵は幻の如く、外塵は内塵に比べて真実の如く見えますが、これも第八識が幻化したもので、やはり虚妄不実です。真の実相は不生不滅の真心如来蔵第八識であり、これを除いては全て仮の存在、幻化不実です。

衆生は永遠に外塵に触れることができず、全て虚相・仮相の中で生存しているに過ぎず、病める目が虚空の花を見るが如しです。内塵と外塵は存在するのかしないのか。衆生の目に病あれば虚空に花を見、衆生の心に病障あれば一切の相を実在と見做します。衆生の心に病なき時は虚空に花を見ず、ただ如来蔵性を観ます。例えば我々の五陰に動転施為あるも、これらの仮相を排除せず存在するのは、これが仮有であるためです。これらの法は現在体得し難く、悟りを証した後、各種の観行智慧が現起する時、初めて理解できるものです。これは親証の現量境界であり、他人が如何に解説しても体得できません。これは理解の問題ではなく、実際の修行によって自ら証得しなければ体得できないためです。理解のみでは不確かであり、生死の問題を解決することもできません。