持経功徳分第十五 原文:若し復た人あり。此の経典を聞きて。信心逆らわず。其の福彼に勝れり。況んや書写し受持し読誦し。人の為に解説するをや。
釈:須菩提よ、もしまた人がこの金剛経を聞き、心に清浄なる信解を生じ、四相なき金剛般若の心を深く信じ、その心が経義に背かないならば。例えば仏が四相なきことを説き、四相を破ると、この人は「四相は実有で真実不虚である」とは言わず、また四相に執着して心の内で自我を空じ、自心を空じようと願う。この人の功徳は、無量百千万億劫の間に日に恒河沙数の多き色身を布施する者よりも殊勝で超越している。ましてやこの人が、信心清浄であるだけでなく、金剛経を読誦し金剛心を証悟し、金剛実相心に依止して自らを修持し、さらに広く人々のために金剛経を解説し、衆生を導いて金剛実相心を証悟させ、金剛経の広範な流布を護持するならば、この人の功徳は色身の内財を布施する者をはるかに超えるであろう。
原文:須菩提よ。要を以て言えば。是の経は不可思議。不可称量。無辺の功徳有り。如来は大乗を発す者の為に説き。最上乗を発す者の為に説く。
釈:須菩提よ、要約して言えば、この金剛経は不可思議、不可称量、無量無辺の功徳を有している。如来世尊は全て大乗の菩提心を発した者のために説き、最上の仏乗の菩提心を発した者のために説かれたのである。
なぜなら、大乗の菩提心を発した者、大乗の根基を有する者のみが、心量広大で衆生に慈悲深く、智慧が深遠であるため、金剛経を読誦しその義理を理解し実相を証悟することを望み、その後にはじめて如来蔵の法を受持し、如来蔵の法を伝播する能力を得て、将来初地に入り如来の家業を担い、無量の衆生を広く度することができるからである。
原文:若し人能く受持読誦し。広く人の為に説くこと有らば。如来は悉く是の人は知り。悉く是の人は見たもう。皆な不可量。不可称。有辺無し。不可思議の功徳を得ん。
釈:もし人が金剛般若波羅蜜経を受持読誦し、広く衆生のために如来蔵実相の義理を開演することができるならば、この人が有する全ての善根と功徳、全ての智慧と功徳、彼が衆生のために為した一切の事業を、如来は悉く知り悉く見たもう。誤りも漏れも隠れることもない。ゆえにこの人が為した一切の衆生を利益する事業は全て功徳が無駄にならず、少しも埋もれることはない。彼は将来、不可量、不可称数、有辺無く、不可思議な功徳を成就するであろう。
なぜこの人が受持読誦する金剛経の功徳、衆生のために為した一切の功徳を如来が悉く知り悉く見たもうのか。この如来とは一つには色身の如来、一つには法身の如来を指す。色身の如来は無量の神通徳能を有し、仏眼をもって観るが故に、この人が受持読誦する金剛経の全ての功徳を悉く知り悉く見たもう。この人が無量の衆生を度化する全ての功徳と福徳を漏れなく知り見たもう。仏には無量の智、一切種智があり、世出世間に知らぬ法無く、見えぬ法無く、大千世界を円満に照らして一切を見逃さないからである。
一方、法身の如来は、常にこの人に随い、この人の為す一切には必ず法身如来の加護と守護がある。法身の如来とは即ちこの人の如来蔵である。なぜなら如来蔵はこの人の心行を了知し、またこの人が一切の事業を成し遂げるのに協力し、さらに衆生の業種を記録保存する。よってこの人の為す一切を如来蔵は悉く知り悉く見、業種は全て保存される。将来はこの人の全ての功徳果報が実現され、この人の功徳が無駄にならず、最終的に円満に仏となるのである。
26
+1