貪・瞋・癡は三つの毒でございます。これらの毒は私たちの肉体を侵すばかりか、心をも犯し、生生世世にわたって苦しみを招き、三悪道に流転させて苦悩を与えます。特に瞋恚の心が強いと、怒りの炎が血液の流れを乱し、身体に負担をかけます。血液中の毒素は心臓の血流を滞らせ、怒りやすい人は心臓病や他の疾患にかかりやすくなります。故に瞋毒の害は最も甚大で、自他ともに傷つけるのです。貪瞋痴の煩悩が起こるとき、肉体も変化を伴い、血液成分が変質し気血の巡りが乱れるため、身体に滞りが生じ病根が徐々に蓄積されます。
瞋心が動くだけで身体に影響が及びます。煩悩の重い人は病も重く、現世の健康を損ないます。ましてや来世においては、瞋心の故に容貌が醜く不荘厳となりましょう。さらに貪瞋痴の煩悩が悪業を造作すれば、福徳を減損し三悪道に流転して将来の苦悩は尽きません。悪業を造れば来世の肉体に様々な病苦が現れます。肉体は正報に属するため、悪業は直接身体を損ない不健康・多病をもたらし、悪報の重い者は短命の果報を受けるのです。
常に他者を悩ませ苦しめる行為は、自らの将来の果報を著しく悪化させ、受ける苦悩は他者を遥かに上回ります。自らも苦悩に囚われるばかりか、短命の厄難に遭いましょう。短命は貪瞋痴の煩悩や悪業と深く関わります。悪業を造り他者を害すれば、自らの福徳を減じ必ず悪報を受けるのです。
最も顕著な例を申し上げますと、貪心が生じると心が穢れます。心の穢れは肉体に影響し、体内の水大が変化します。水は下方へ流れる性質ゆえ、臨終時には貪心の水が三悪道へ堕す因となります。また貪心は血流を速め頭脳を不冷静にし、物事への判断を混乱させます。
瞋心が起これば四大の調和が乱れ、血液中の四大構造が変化して毒素が発生します。特に激しい怒りは顔色を青く変え、血液循環を阻害します。長期的には心臓病や血液疾患を招き、脳への供血不足から脳疾患を引き起こします。晩年には小脳萎縮等の脳病に悩まされるでしょう。故に貪瞋痴が他者を苦しめるだけと思ってはなりません。真に最も害を受けるのは自分自身なのです。
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