衆生はブラックボックスの中でいかにして誕生するのか

まず、ブラックボックスがどのように出現するかについて述べましょう。ブラックボックスが後頭部の勝義根に位置し、身根の一部に属する以上、それは身根の出現とともに生じるものです。身根は第七識と第八識が母胎に投胎し、次第に形成されるものです。第八識が母胎内で身根を形成し始めて約四ヶ月経つと、後頭部の勝義根の原型がほぼ具わり、ブラックボックスが形成されます。

この時、胎児の外部の声塵と触塵は、胎児の耳根と身根を通じて後頭部勝義根のブラックボックスに伝達され、内相分の声塵と触塵となります。これがブラックボックスの耳勝義根と身勝義根に触れることで、耳識・身識・意識が生起し、その後母胎内の音声や母体外の音声、母胎内の冷熱や自身の触覚・痛覚・圧迫などを了別できるようになります。実際、胎児が認識するこれらは全て自らの勝義根ブラックボックス内の情報であって、母体内外の情報でも胎児自身の身体の外塵でもなく、全て胎児の勝義根内の内声塵と内触塵なのです。

勝義根が更に発達を遂げると、香塵と味塵も浮塵根である鼻根と舌根を通じて鼻勝義根と舌勝義根に伝達され、内香塵と内味塵となります。これが勝義根中の鼻根・舌根に触れることで鼻識と舌識が生起し、母胎内の香塵・味塵を弁別しますが、実はこれらは胎児自身のブラックボックス内の内香塵・内味塵です。胎児のブラックボックスに内色塵は存在するのでしょうか。存在しますが、根塵が触れても眼識は生起せず、内色塵を見ることはできません。なぜか。母胎内には光明が存在せず、眼識の生起には九縁が必要で、光明はその一縁だからです。

胎児の身根が完全に発達し、勝義根も円満に発育してブラックボックスの機能が具足すると、十月満胎を経て母胎を出て嬰児となります。生まれたばかりの嬰児はまだ目を開けられませんが、数日適応すると目を開け、朦朧としながらも自らのブラックボックス内の内色塵を見ることができます。内六根・内六塵・内六識の十八界が具足し、人相が完成するのです。